普段見慣れた街並みや風景にも当然ながら歴史があります。
「え!ここってそういう場所だったの?」なんて思うこともざら。
今につながる昔の風景。その一瞬をスケッチでお伝えします。
起源は古代、聖なるところに住むところ。
「東京のへそ」大宮八幡宮
東京の重心にあることから、「東京のへそ」とも呼ばれる大宮八幡宮。
鎮座950年を超える歴史を持つ由緒正しい神社です。
現在は安産祈願が有名で、戌の日参りや七五三など、「子育ての神様」としても親しまれています。
境内に入ると、都会とは思えない木々に囲まれ、一気に清々しい空気に変化。
幼稚園があり子供たちの声が響いているせいか、厳粛な雰囲気というよりも優しい森に包まれている、というような温かい居心地の良さがあります。
聖域の「大宮遺跡」、くらしの「松ノ木遺跡
この大宮八幡宮、歴史をさかのぼると千年どころではない、旧石器時代の遺跡が見つかっています。
そして、弥生時代には「方形周溝墓」という高貴な人の墓がつくられました(大宮遺跡)。
三基の墓の周囲からは土器や勾玉、ガラス玉等も見つかり、当時の祭祀を行う場であったことが判明しています。
この遺跡は、旧社殿の位置ともほとんど重なり、一帯が聖域であったことが分かります。
古代からの信仰が、大宮八幡宮の創建につながったのですね。
この大宮八幡宮の一帯は善福寺川の南崖上、高く見晴らしの良い位置にあります。
しかも、高台にもかかわらず清水が湧き、古来より聖域になるのも納得の立地。
それでは対岸の低い地帯には何があるのかというと、杉並区最大級の遺跡、松ノ木遺跡があります。
こちらも旧石器時代よりの遺跡には変わりませんが、住居跡や日用品としての土器が見つかり、「生活の場」であったことが確認されています。
善福寺川で隔てられた松ノ木遺跡と大宮遺跡をつなぐ場所には「八幡橋」がかかり、その先には急な崖を登る道があります(現在工事中)。
この道こそが、古の聖域と俗域をつなぐ参道であったかもしれません。
古代から現代まで!受け継がれる空間
さて昭和初期、松ノ木遺跡がある和田掘地区は、大宮八幡宮一体と共に「和田掘風致地区」に指定され、ボート乗り場や釣り堀が整備されました。
さらに戦後はスポーツ施設などを含む都立公園として再整備され、今なお市民の生活に密着した自然公園として愛され続けています。
高台に鎮座する聖域、低地に広がる生活の場としての俗域という関係が、古代より脈々と受け継がれているのです
。調べると古代に由来する場所や道は意外と多く存在します。
「ここパワースポットかも!」というあなたの感覚、実は結構当たっているかもしれませんよ。
杉並むかしスケッチトーク会 a t コクテイル書房

今号から始めたむかしスケッチシリーズですが、どういう考え方でスタートするのかということを今回のトーク会でお伝えしながら、参加者の皆様で杉並の地域を深堀りするきっかけにできればと思っています。
開催日時:1 0 月2 2日(土) 1 5 : 0 0 〜( 1 時間半ほどを予定)
参加無料事前予約制で、予約はメールか電話にて。
会場:コクテイル書房杉並区高円寺北3 – 8 – 1 3[問]杉並時間編集部 担当:藤原 f u j i w a r a @ n d w . c o . j p